ブリュッセルにて1.12-19に開催された国際的なポエトリースラム運営会議「Slam Cubator Lab.」にて、ポエトリースラム世界大会 World Poetry Slam Championship (WPSC) 2025メキシコ大会の会期を
・当初秋の予定から5月30日-6月1日へ変更すること
・開催都市はメキシコシティからメキシコ/アメリカ国境の都市、シウダー・フアレスへ変更されること
がホスト国であるメキシコ運営より報告されました。
日本のナショナルスラムであるKOTOBA Slam Japanからは2024全国大会優勝である中内こもるさんがパリ・グランドポエトリースラム、そしてこのWPSC2025メキシコの2大会に出場予定でしたが、パリ・グランドポエトリースラムも5月26日-6月1日の会期予定のため、ご出場日程が重なってしまうこととなりました。
ブリュッセルでは参加各国スラムマスターによる会談が行われ、メキシコ運営より
・シウダー・フアレスの文学フェスティバル・ブックフェアのプログラムの一部としてWPSC2025メキシコが行われることになること
・フェスティバル側がWPSC2025メキシコに発生する資金大半の提供を決定したため、その会期に合わせWPSC会期も秋から上記への変更がマストとなる
と報告されました。
パリグランドポエトリースラムとの会期の重なりについてまず協議されましたが、同年中に同じチャンピオンがパリグランドポエトリースラムとWPSCに出場する国は現在では数カ国のみであること、メキシコはそもそもパリグランドポエトリースラムへのチャンピオン非送出のスタンスを取る国であることをもとに、日本を含めた対象数か国が国内個別調整を行うこととなりました。
この変更を受け、KOTOBA Slam Japan(KSJ)はKSJ2024全国大会優勝中内こもるさん、同準優勝電子原人さんと協議を行い、パリグランドポエトリースラムに報告、さらなる調整をし、以下のように決定いたしました。
①中内こもるさんは2025年5月30日-6月1日開催のWPSC2025メキシコへ日本代表として出場し、海外へのパフォーマンス渡航をさらにもう一度していただけるよう本年から来年にかけてKSJが調整させていただく。
➁当初、中内こもるさんが出場予定だった本年2025年5月26日-6月1日開催のパリ・グランドポエトリースラムには、KSJ2024準優勝 電子原人さんが繰り上げで日本代表として出場する。
なお日本側は当初、中内こもるさんのパリグランドポエトリースラム出場を来年2026年に1年繰り越す事をパリ運営にご提案させていただきましたが、パリが繰り越し出場を拒否したという経緯です。その上でどちらの大会に出場を希望されるかをチャンピオン中内さんに改めてヒアリングし、電子原人さんのパリ出場に対する強い希望の意思も確認し、上記の決定に至った次第です。
またその中で、スポンサーイベント、決定・発表されているフェア会期に合わせた開催時期の移動と日程の決定であるにも関わらず、それが故意であると邪推し激昂したパリグランドポエトリースラム運営側より、世界大会機構WPSO全体に対する極めて激しい侮辱行為が、運営のみならずチャンピオンやそれに準ずる立場の方から見える場所で行われてしまいました。
これを踏まえWPSOでは、加盟国全体の今後のパリグランドポエトリースラムへのチャンピオンの二重送出の是非について議論されることとなり
①現在に至るまでに運営側の起こしてきた様々な問題によりボイコットなどが相次ぎ、すでにケベック以外の全アメリカ大陸、オセアニア、日本以外のアジア、アフリカ・ヨーロッパの多くの国 が当該スラムへの不参加を決めたり、出場者個々人の意思に参加を任せている。
②そのような現状であるにも関わらずWPSO加盟国の栄誉ある各国のチャンピオンを送出することは望ましい状態か
③とはいえ、モザンビークや日本などスラマーの海外進出がまだ乏しい国においてはパリグランドポエトリースラムが貴重な機会として機能しており、該当国のスラマーらの多くはパリグランドポエトリースラムに出場することを望んでいることは全体認知・理解されている
という状況を踏まえ、2025年2月4日現在、
・WPSO加盟国からのチャンピオン(直近のナショナルスラム優勝者)の送出を一斉停止する。しかし国内シーンのパリ出場への希望や需要が高く、それを行うことがナショナルスラムの安定運営維持に繋がる事情を持つ国は、チャンピオンではない2位以下のスラマーを送出することが容認される。
という内容で今後の指針を立案、3月第2週週末の月次会議にて投票を行い議決し、決定となれば、その内容は交付され加盟国全体が添い従っていくこととなります。
現在このような世界全体の状況であることを踏まえ
KSJは2025年シーズンを
・全国大会で優勝したチャンピオンは翌年の世界大会WPSC2026南アフリカ大会に出場することができる。
・全国大会で準優勝した方は翌年5月のパリ・グランドポエトリースラムへ、ご本人が希望する場合に出場することができる。
とすることを決定いたします。
日本は今回、前述のパリ側からの行為の被害を受けた1国であり、WPSO会長、各大陸を担当する副会長らから情報を共有された様々な国の運営の皆様より、寄り添いや抗議連帯の意思のお言葉を頂戴しました。この場を借りて改めて御礼申し上げますとともに、今件のパリ運営の行為に関しては、遺憾の意を示す他ありません。
しかし、先進国ではあるものの言語の壁や立地という問題から海外へのアーティスト進出は著しく少ないいう日本の実情は約3年の運営協働により世界シーン全体へ認知が進み、希望する方をパリへ出場させる余地を残していく日本の方針に関しても、広いお心のもと快くご理解を頂いております。KSJにご出場で世界を目指される皆様におかれましてはどうぞその点ご安心頂ければと思います。日本シーンへの世界からの親愛は深く、今までよりスピード感のある決定や伝達のため9名とポジションを半分以下に減らすことなった今期のWPSO役員にも、日本運営は投票により選出され着任しております。
以上の変更は、本年2025年シーズンの大会ラインナップ等を含めた初報にも併せて再度アナウンスをさせていただきますが、何卒お含みおきのほどをお願いいたします。
そして2人となった日本代表、中内こもるさん、電子原人さんの引き続きの応援をよろしくお願いいたします。
KOTOBA Slam Japan 代表理事
Vice President for Asia/ Board member of World Poetry Slam Organization
三木悠莉