【KOTOBA Slam Japanより声明】
◎概要と目的
KOTOBA Slam Japan(以下KSJ)運営代表のJordan A.Y. Smith、同運営代表兼
World Poetry Slam Organization Vice President for Asia の三木悠莉/Yuri Miki です。
2023年3月、私たち2名の主催するKSJがある方から加害的行為(虚偽情報の流布)を受けました。
その件につきまして、KSJとして以下の通り、説明を尽くして、意見をお伝えいたします。なお、この声明では加害を行った方の氏名はあえて伏せ、以下「加害者」と記載をさせていただきます。
無関係の第三者による加害者への不当な攻撃や、無意味なラベリングが行われ同じく無関係の方が傷つくことは、KSJの意図・目的とすることではありません。KSJは、加害者の氏名・国籍・性別を明記せず、被害の事実をお知らせいたします。
しかし同時に、2023年現在の日本におけるナショナルポエトリースラム団体として、必要な方へ情報提供や開示をする責任も当然ございます。ご希望の国内外の団体・個人様におかれましては、お手数をおかけいたしますが、文末に記すメールアドレスまでお問い合わせいただけますよう、よろしくお願いいたします。別途KSJよりご回答を差し上げます。
またKSJと現状交流のある/今後交流がありそうな海外のナショナルポエトリースラムや大陸団体等につきましては、詳細をこちらから順次ご連絡・ご共有させて頂きますので、お待ち下さい。
最後まで何卒お目通しいただければ幸いです。
◎発端
2023年3月26日、加害者よりSNSサービス「Twitter」においてツイートが発信されました。
※現在は削除されているため閲覧できませんが、スクリーンショットを保存しており、その資料を元にこの声明文を記載しております。
加害者はツイートにおいて「ポエトリースラムジャパン(以下PSJ)の観客投票で/いかさまが行われたということを電話で前代表に聴いた(原文ママ)」と発言し、続いて(PSJ代表村田氏が退任しKSJが発足したことは)「東京の詩の朗読、ポエトリーのシーンでタブーである(原文ママ)」といった発言をなさいました。
◎問題点
この発言を問題として、KSJでは運営本部による緊急会議を行ないました。
会議の過程において、PSJ代表の村田活彦氏へ事実確認などの必要性から連絡を行ない、各ナショナルポエトリースラムの代表として、経緯や対策などについて話し合いました。
大きな問題点は以下の3点でした。
①PSJ時代に本当にいかさまが行なわれたのか
②いかさま云々について村田氏から加害者への話があったのか
③「ポエトリーのシーンでタブー」にPSJ・KSJのイベントは該当するのか
◎問題点への回答
①PSJ時代に本当にいかさまが行なわれたのか
回答:PSJの5年間を通じて審査の「いかさま」という事実はありません。
②いかさま云々について村田氏から加害者へ話があったのか
回答:「いかさま」がなかった以上、代表である村田氏がそれを加害者に、あるいは
他の誰かに伝えるということもありません。
③「ポエトリーのシーンでタブー」にPSJ・KSJは該当するのか
回答:PSJは村田氏が、KSJはJordan A.Y. Smithと三木悠莉の2名が立ち上げたまったく別の団体であり、そこに利害関係や繋がりは一切ありません。そのため、PSJとKSJを混同して語る文脈自体が的外れであります。いかさまがなかったことや、利害関係や繋がりがない以上、「東京の詩の朗読、ポエトリーのシーンでタブーである(原文ママ)」という批
判には当たりません。
※①・②の回答につきましては、ポエトリースラムジャパンのTwitterアカウントによる発言が公式ですので、詳細はそちらをご覧ください。
https://twitter.com/poetryslamjapan/status/1640696185596833792?s=46&t=4aTba6yNX8W-v-l99XVZGA
◎結論
①~③の回答からご判断いただける通り、加害者の発言は正鵠を射ておらず、まったくの事実無根であることを意見表明いたします。
◎KSJから皆さんへ
今回の件でポエトリースラムやポエトリーリーディングのシーンに対して、ご不安や不信
感を持たれた方がいらっしゃるかもしれません。そのような方々へ説明を尽くすために、このような一連の声明を発信させていただきました。ご理解をいただけましたら幸いです。
KSJといたしましても、日本におけるナショナルポエトリースラムの審査や成り立ちの透明性という、大会や団体の信用の根幹となるものに対し、悪意の虚偽情報を流布されたこと、今や世界中に拡がった観客審査によるポエトリースラムという一つの文化への敬意が欠如している点に、激しく憤りを感じています。
今回の当該加害者に対するイベント運営上の対応(会場出入/出場可否等)に関しては、声明による明言は控えさせて頂きます。当該加害者への厳正なる対応を行い、イベント出場者、観覧の皆様、運営スタッフが安心して大会に参加できる環境づくりをお約束いたします。
今回のような事態はこれからも起こり得るかもしれません。今回の案件を教訓として、KSJでは今後、イベントや出場者、関係者へのあらゆる加害、誹謗中傷を許さないという姿勢と対応を明文化し、「No加害!プロジェクト(仮)」として皆様にリリースさせていただきたいと考えております。
今後もポエトリースラムやポエトリーリーディングのシーンへ関わる多くの方にとって、大切な経験やかけがえのない楽しさを共有できるような場所を作れるようにKSJは運営スタッフ一同、協力しながらイベント運営を続けてまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。また、これを機にKSJを知って
下さった皆様におかれましては、これから新たなるご縁を結べたらよいと、希望のある未来を夢みております。
【上記声明に対する運営代表の意見】
◎三木悠莉/Yuri Mikiより
6年間。長かったです。
6年前、私が主催したあるイベントとイベント出演者に対する加害から、この加害者の、私のイベントと私に対するインターネットでの揶揄や中傷が執拗に続いて来ました。
そして今回、KSJへも明らかな加害が発生しました。
全ての加害に対し、謝罪は未だに一度もありません。
加害に遭遇したとき、その怒り・悲しみ・困惑から、そして加害者の擁護、被害者が声を
上げることを嗜めたり懐柔したり、またはトーン・ポリシングを用いた批判、「大袈裟だ」という冷笑などの二次加害によって、沈黙や黙認を選ばざるを得なくなる状況が常にありました。私はそんな境遇に置かれた1人であり、今これを読んでいる皆さんの中にも同じような方がいるのかもしれないなと思い、
このメッセージを書いています。
声をあげてください。
声をあげる人に出会ったらまず寄り添ってあげてください。
皆でそれができれば、暗く重く長いあの沈黙は、この世界からなくなります。
世界から美しく、礼儀正しく、親切だと愛されるこのアジアの国・日本にも、ミソジニーやオールドボーイズクラブのようなものは、まだ当たり前に存在しています。
私は日本におけるナショナルポエトリースラムの初めての女性チャンピオン、唯一の連覇者として、そしてこの国で初めての女性のナショナルポエトリースラムオーガナイザーとして、世界のさまざまな国と共に働くWPSOのVice President for Asiaとして、2人の子供を持つ母親として、あえてこの恥を世界に公開します。
もっと早くNoを言えなかったこと、この立場になるまで先輩・年長者からの懐柔に対して、相手の立場を汲みとり、不本意ながら何度もNoをYesと変え沈黙をしてしまったこと、このNoすら面白おかしくあげつらう・ミソジニー的な批判の対象にする・沈黙を望む発信をする方がおそらくこの国にいること、全てが恥ずかしいです。
でもこれを今恥ずかしいと思うことも、恥ずかしいと思う私も、少しも恥ずかしいとは思いません。
今はそれだけで十分です。私や私の仲間たちが歩むこれからの道が全てを証明してくれると信じています。
私は、KSJは、加害を見て見ぬふりや苦笑いで済ませ、正しくあることより表向きの平和やしがらみを重んじ、沈黙する被害を透明化させてしまう、ただ思考停止しただけの見せかけの“開かれた場"はつくりません。
私は、KSJは、誰もが安心して楽しく参加できる場を作ります。
そして世界中の、特に被害に遭いやすい女性のポエトリースラムオーガナイザーや詩人たちに同じような事が起こらないよう、声を上げ続け、連帯していきます。
この声明を書くサポートをしてくれた対策チームのメンバー、素晴らしい英訳や愛に溢れた相棒のジョーダン、そして最後まで読んでくれたあなたに感謝します。ありがとう。そしてこれからもKSJをよろしくお願いします。
◎Jordan A.Y. Smith より
私は、現代詩の翻訳者として、6つの大学(日本3校、米国3校)の教授として日本文学と翻訳を教え、城西大学国際現代詩センターの副センター長、『TOKYO POETRY JOURNAL』編集長、ポエトリースラムジャパンやKSJの翻訳者を務め、日本の詩のシーンに携わってきました。
私は、加害者と、加害者の全く奇妙で根拠のない主張を支持しているある知人を含め、すべての関係者と何年もステージで詩を読んで来ました。
私はこの人物を知っており、実際にこの人物の詩を翻訳し、一緒にイベントで読んだこともあります。
私自身、詩人としてポエトリースラムジャパンの全国大会に2度出場しましたが、そこでの投票、またKSJでの投票についても、奇妙なことは何一つ見たことがないと断言できます。
私は、三木悠莉のリーディングを聴衆が畏敬の念を持って聴くのを見てきており、彼女の2度の全国大会優勝は十分に値するものでした。私は彼女の詩を翻訳したこともあり、彼女が築いたこの組織に深い尊敬の念を抱いています。
三木悠莉やKSJのスタッフは、自分たちの役割を非常に大切にしており、このような中傷は残念でなりません。私たちは誹謗中傷に屈しないことが最善であることを学び、この声明を発表することにしました。名誉もコミュニティも共に重要なものです。そして、詩人がステージに立ちベストを尽くすために必要な、安心感、連帯、信頼もです。
この文章を読んでいる皆さんへの愛と連帯、そして感謝の気持ちを込めて。
この人物に立ち向かい、私たちの活動を続けることを応援して下さりありがとうございます。
以上
(2023年5月14日)
KOTOBA Slam Japan運営代表兼
World Poetry Slam Organization Vice President for Asia
三木悠莉/Yuri Miki
運営代表 Jordan A.Y. Smith
KOTOBA Slam Japan連絡先